「3つの保険」定期・養老・終身すべての保険はこの3つに分類される

日本人は保険の話を聞くのが大嫌い!

それは「よく分からない話をされて、保険に加入させられてしまうのではないか」と怖がったり、面倒くさがったりするのが理由です。

しかし必要最低限の保険知識さえあれば保険屋さんに「丸め込まれる恐れ」はなくなりますし、逆に鋭い質問をして保険のプロを唸らせることも可能になります。

そこで今回は全ての保険の「基礎の基礎」、定期・養老・終身

「3つの保険」

について詳しく解説していきます。

全ての保険のベースとなるお話です。というか「3つの保険」を知らずに保険屋さんの話を聞いてはいけません!

ぜひ最後までお付き合いください。

Contents

定期保険とは?

定期保険とは、読んで字のごとく、「期間を定めて、その期間中だけ保障する」保険です。

期間を1日でも過ぎれば保障は終わり。電車の定期券も期限が過ぎると電車に乗れませんよね。あれと同じです。

また定期保険は別名「掛け捨て保険」と言われます。保険の満期がきて保険期間が終わっても、お金は「1円も」戻ってきません。

「えー!損じゃん!!!」と思われると思いますが、日本で最も売れているのはこの定期タイプの保険です。

定期保険のメリット

保険料が安い!

なぜ定期保険が一番売れているか?

それはズバリ「保険料が安い」からです。

保険会社は契約者から保険金の請求をされた場合、速やかに保険金を支払う必要があります。

そこで契約者から預かった保険料から「責任準備金」という資金をプールしているのですが、定期保険の場合は保険期間が限られているため、多くの方はその間に亡くなりません!

そのため定期保険用の責任準備金はたくさん貯めておく必要がないのです。

結果として定期保険は他のタイプの保険に比べ、最も保険料が安く設定されているというわけです。

定期保険のデメリット

保険期間が終わると保障がなくなってしまう

例えば5年の定期保険の場合、5年間の保険期間が過ぎれば保障はなくなってしまいます。

当然ですね、それが定期保険の宿命です。

しかし引き続き保障が必要な場合もあります。そんな時は「更新手続き」が必要となります。

保障を更新しようとすると保険料がグンと上がる

保障が切れてしまうと困るので保険屋さんに更新をお願いすると、

「ありがとうございます。もちろん可能ですが、保険料は高くなります

と笑顔で返されます。

ショックです、安いと思っていた保険料が上がってしまうというのです!

生命保険の場合、保険料を決める最も重要なファクターは「年齢」です。そして悲しいかな人間には寿命というモノがあり、35歳の人よりも40歳の人の方が「死に近づいている」という事実があります。

保険会社としては前回の契約時よりも「死に近づいている」わけですから、保険金を支払わなければならないリスクが高くなっています。そりゃあ「もう少し多めに保険料を払ってください」と言いたくなっても無理はないというモノです。

そんなわけで定期保険の場合、契約を更新するたびに「保険料が高くなります」

高齢になると更新できない

いくら「人生100年時代」と言われるようになろうとも、80歳の人が「死に近い」というのは紛れもない事実です。

ちなみに平成29年度の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳です。つまり80歳で更新手続きをした場合、保険会社はほぼ確実に保険金を支払わなくてはなりません。

これでは保険会社は辛いですよね。

そのため保険会社によっても異なりますが、80歳くらいになると定期保険の更新を受け付けてもらえなくなります。

「一番必要なときになって更新できない」

これが定期保険の厳しいデメリットです。

掛け捨てである

上でも説明しましたが、定期保険は「掛け捨て」です。

保険料が安い代わりに保険期間が終了しても1円も返ってこない!悪い言い方をすれば「安物買いの銭失い」といえるかもしれません。

しかし考え方によっては、保障は必要最低限のコストでカバーしておき、その分浮いた資金を貯めておいたり、投資にまわして増やすことも考えられます。

要はその人の考え方やライフスタイル次第です。

そのため掛け捨てであることはデメリットとはいえないかもしれません。

定期保険はこんな人に向いている

どうしても経済的に守りたい人がいる

例をあげるなら「小さな子ども抱えた若いお父さん」です。

まだ若いためお給料はそんなに高くない。そのため保険にはそこまでお金がかけられない。ただ自分に万が一のことがあった場合、この子は経済的に困ってしまうだろう。そんな事態だけは避けなければならない、絶対に!!!

というお父さんには定期保険が向いています。例えば子どもがひとり立ちできる18歳くらいまでの間だけ「期間を定めて」保障を準備すれば良いのです。定期保険ならそれを安いコストでかなえることができます。

ちなみに「共済」は最もメジャーな定期保険。若いお父さんにオススメです。

養老保険とは?

亡くなっても元気でもお金を受取ることができる

「老後を養う保険」と書いて「養老保険」と読む。養老保険は文字通り生命保障を確保しつつ、老後資金を蓄えるための保険です。

期間を定めてその間だけ保障するのは定期保険と同じです。しかし保険期間が終了した場合1円も返ってこなかった定期保険とは異なり、養老保険は満期時点でお金が返ってきます!

例えば保険金1,000万円の養老保険に入った場合、保険期間中に死亡すれば、もちろん1,000万円の保険金を受取ることができます。

では幸いなことに健康なまま満期を迎えた場合、いくら受取ることができるでしょうか?

10%の100万円?、半分の500万円?

いえいえ、1,000万円受取ることができます。

つまり、万が一のことがあっても元気でも「必ず1,000万円受取ることができる」というわけです。

保障と貯蓄を兼ねた生命保険、それが養老保険の正体です。

学資保険も養老保険の一種?!

この養老保険の仕組みを子どもの教育資金準備のためにアレンジしたのが「学資保険」です。

大学に入学するまでという期間を定め、満期になったら学資金が支払われます。ただ通常の養老保険と違うのは、契約者である親に万が一のことがあった場合、以後の保険料の払込みを免除するという「払込免除特約」が付いているという点です。

親が亡くなった場合、その時点で学資金が支払われるのではなく、将来大学などに進学する時期に満額の学資金が支払われます。

養老保険のメリット

保障と貯蓄を同時に準備することができる

生命保険会社と保険の契約をし、銀行にお金を預け、証券会社などで投資信託を購入する。これはかなり大変な作業です。

その点養老保険であれば、保障と貯蓄を同時に準備することができます。連絡などもワンストップで全て済む。この便利さが養老保険のメリットです。

貯蓄に比べ利回りがよい

養老保険でよく用いられるのは、「定年退職後の資金」を準備するというケースです。この場合は20代や30代で契約をして、65歳を満期に設定します。

つまり運用期間が30年~40年あるわけです。

資金運用は一般的に長期になればなるほど「安定」し「大きく」増やすことができます。そのため一般的な定期預金などよりも超長期な運用が可能な養老保険は、「高い利回り」を実現できるのです。

学資保険でシミュレートしてみます。

ソニー生命学資保険

学資金を18歳~22歳の間に5回に分けて毎年受け取るⅢ型を選択し、

契約者が30歳男性・被保険者(子供)が0歳の場合 受取総額200万円

保険料払込期間10年
保険料(月払い)¥15,540
払込保険料総額¥1,864,800
受取総額¥2,000,000
返戻率107.20%

返戻率(預けたお金がどれくらい増えて返ってくるかを示す利率)は107.20%、13万円強お金が増えて戻ってくる計算となります。

養老保険のデメリット

保険料が高い

養老保険最大のデメリットは「保険料が高い」ということです。

  • 預貯金の利回りを超える貯蓄機能
  • 生命保障機能

を兼ね備えているのですから保険料が高いのは致し方ないのですが、それにしても高い。

経済的に余裕がないと保険料を払い続けるのは厳しい感じです。

途中で解約すると「元本割れの可能性」がある

高額な保険料を支払い続けるのがきつくなり、途中で解約すると、「解約返戻金」という形でそれまで支払った保険料が戻ってきます。

しかしあまりは約解約してしまうと、「元本割れの可能性」があるのです。

下の図を見てください。保険料の累計額がまっすぐ伸びていくのに対し、解約返戻金は弧を描いて伸びていきます。これは契約の最初の頃は保険会社の手数料や、運用手数料などが差し引かれるためです。

出典:保険の仕組み

解約返戻金が保険料累計額を抜き去るより前に解約してしまうと元本割れしてしまうというわけです。

固定金利のため金利上昇やインフレに弱い

養老保険は「固定金利」の金融商品です。そのため金利上昇やインフレに弱いというデメリットがあります。

金利上昇は理解しやすいと思います。今後バブル期のように5~7%/年といった高金利時代が到来しても、現在の超低金利のままでしかお金が増えていかないということです。

ではインフレに弱いとはどういうことでしょうか。

100円だったジュースが100円で買えなくなるのがインフレ

昭和から平成に変わる頃、缶ジュースは100円だったと思います(ペットボトルはなかったですからねw)。その頃は10,000円あれば缶ジュースが100本買えたわけです。

しかし平成が終わろうとする今、缶ジュースは150円くらいします。すると10,000円だしても、「66本」しか買えないのです。逆にいうと100本買うためには15,000円必要になります。

これがインフレです。

つまり物価の上昇ペースよりも多くお金が増えていかないと、実質的には「お金が減った」のと同じ事になってしまうわけです。

固定金利商品はこのようなインフレにはついていけません。

養老保険はこんな人に向いている

養老保険で受取る満期金は一括で受取ることもできますが、年金のように数年間に分けて受取ることも可能です(保険会社によって異なります)。

そのため若いときは家族や子ども達のための「死亡保障」として、そして定年退職後は自らの「老後資金」として利用することができます。

ただし月々の保険料が高いことは確かなので、「経済的に余裕のある方」向きといえるかもしれません。

終身保険とは?

終身保険の正体は「満期がない養老保険」

「保障が一生続きます!」といわれるのは終身保険のこと

身が終わるまでという名前の通り、「一生涯保障が続く」のが終身保険の特徴です。定期保険や養老保険にあった「満期」という概念がありません。

養老保険と同様に貯蓄性がある

終身保険は養老保険と同じように「貯蓄性」のある保険です。下の図のとおり解約返戻金が貯まっていき、「満期」がないので、被保険者が死亡して保険金を受取るか、解約して解約返戻金を受取るまで「ずーーーーっと」増え続けます。

ちなみに下の図の保険料累計額を解約返戻金が上回った後であれば、いつ解約しても「プラス」になって返ってきます。

実は終身保険の正体は「満期がない養老保険」なのです。

出典:保険の仕組み

保険料の払込期間には「有期払い」と「終身払い」がある

終身保険の保険料払込期間には「有期払い」と「終身払い」があります。

有期払いとは、「契約してから20年間」とか「契約者が60歳になるまで」というように期間を決めて払込むタイプです。

保険料の払込期間については「ローンの支払い回数」と同じように考えればOKです。

12回払いよりも24回払いの方が月々の支払額は少なくなりますが、利息がかかるのでトータルの支払額は24回払いの方が多くなりますよね。

保険料も同じ事です。10年払いと20年払いでは当然10年払いの方が月々の保険料は高くなりますが、トータルの保険料は安くなります。

この払込期間で一番長期にわたるのが「終身払い」です。つまり「一生涯保険料を支払い続ける」ということ。「保険料を一生涯支払い続けるなんて嫌だ~」と思われるかもしれませんが、超長期ローンになるわけですから、月々の保険料は最も安くなります。

終身保険のメリット

死亡保険金を「絶対に」受取ることができる!

一生涯保障が続くわけですから、途中で解約しない限り、死亡保険金を「絶対に」受取ることができます。

そのため遺族に確実にお金を残したい場合は終身保険を選ぶしかありません。

いつでも好きなときに解約してお金を受取ることができる

定期保険は掛け捨てです。養老保険は満期が決まっているので、お金を受取ることができる時期が決まっています。

しかし保険料累計額を解約返戻金が上回った後であれば「いつでも好きなときに」解約してお金を受取ることができます(それより前に受取る事はできますが損をしてしまいます)。

終身保険の解約返戻金は保険料の払込が終わった後も保険会社が運用を続けているので「一生涯増え続け」ます!

そのため65歳の時にまだ経済的に余裕があれば契約を続けて運用を続けることができるのです。そしてお金が必要になったときに解約して老後資金を手に入れることができます。

つまり「自分で満期時期を決めることができる」のです。

様々なライフスタイルにフレキシブルに対応できる

保険は「解約する」か「継続するか」しかないと考えているかもしれませんが、実は

  • 半分だけ解約する
  • 2/3解約して1/3は残しておく

といったこともできます。

そのため子どもが独立するまでは5,000万円の終身保険をかけておき、子どもが独立したら半分を解約→解約返戻金で夫婦でリゾート旅行→2,500万円の保障は継続。といった事ができるのです。

その後も2,000万円分を解約して解約返戻金を老後の生活資金に→500万円の保障を「葬式代」としてキープしておく。といった使い方が可能です。

もちろんずーーーと5,000万円を取っておいて、遺族に保険金として相続させることもできます。

このように様々なライフスタイルに「フレキシブル」に対応できるのが終身保険最大のメリットです。

終身保険のデメリット

保険料が高い

終身保険のデメリットは養老保険と同じく「保険料が高い」ということです。

これは貯蓄性がある保険として仕方のないところ。将来お金が増えて返ってくると考えればデメリットとはいえないかもしれません。

金利上昇・インフレに対応している終身保険もある

金利上昇やインフレに弱いというのも養老保険と共通のデメリットです。

しかし終身保険の場合、固定金利ではなく、ある程度の金利上昇に追従するタイプの保険もあります。

養老保険よりも長く付き合うことになる終身保険ですから、このあたりはチェックしておきたいポイントとなります。

終身保険はこんな人に向いている

あなたが今20代で、月々2万円くらいを保険料として支払えるのであれば、今すぐ終身保険の加入をおすすめします。

定期保険に比べ保険料の高い終身保険ですが、それでも20代30代であれば目が飛び出るほどではありません。

そして結婚して子どもが生まれた後は家族への保障として、子どもが独立した後は悠々自適なシニアライフの資金として、最後はお葬式代として、「安心とお財布」を守ってくれる強い味方になってくれます。

一方40代50代の方がこれから終身保険に加入しても、「貯蓄」として活用することは無理です。保険料が高すぎますし、保険会社としても「運用期間」が短いため、解約返戻金を十分に貯めることができません。

そこでこれから終身保険を使うのであれば、お葬式代の準備に2~300万円という使い方になります。

まとめ

  • 掛け捨てだけど保険料が一番安い「定期保険」
  • 保険期間中亡くなっても、満期まで元気でも必ず満額受取ることができる「養老保険」
  • 一生涯保障が続き、途中で解約返戻金を受取ることも可能。フレキシブルな「終身保険」

医療保険やガン保険であっても、必ずこのどれかに当てはまります。

まずは自分が今加入している保険の証券を引っ張り出して、「あ!これは定期保険だ」というようにチェックしてみてください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。