障がいを持つ子どもが幼稚園や保育園、小学校に通う年齢になったときの親の悩みは、
「できれば普通の子達と同じ環境で学ばせてあげたい」
「でもついて行けない場合、かえってかわいそうじゃないだろうか」
「いじめられてしまうのではないだろうか」
「やっぱり障害のある子どもだけが集まる特別支援学校の方が良いのか」
といったことです。
実際うちの息子が小学校に入学するときも両親としては様々な葛藤がありました。
そんな親たちの悩む姿を紹介した良い記事があったので紹介します。
朝日デジタルが提供するwithnewsの『#インクルーシブ教育のいま』という全10回の記事です。
インクルーシブ教育とは知的障がい者が健常児と一緒に通常学級で学校生活を過ごし、障がい者と健常者が共に生きていける社会を実現しようという試み。
幼い知的障がいを持つ子ども達が、社会とどう関わろうとしているのかがよく分かる記事なので、ぜひ読んでみてください。
インクルーシブ教育とは? 「インクルーシブ教育」は聞き慣れない人がいるかもしれません。私たちが共生社会を実現していくためには、教育を受ける段階から、一人一人に応じた指導や支援、「障害のある者と障害のない者が可能な限り共に学ぶ仕組み」(文部科学省)作りが重要とされています。インクルーシブ教育システムと呼ばれ、2006年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」で、必要な要件が提唱されました。具体的には、このような点です(もちろん、この動きより前から積極的に取り組んできた自治体もあります)。
・一般的な教育制度から排除されないこと
・支援のために必要な教育環境が整備されること
・他の子どもと平等に教育を受ける権利を行使するため、個々に必要となる合理的配慮が提供されること
引用:withnews『#インクルーシブ教育のいま #2 「明日は学校ある?」長女の笑顔 障害児を地域で育てるということ』より
我が家の場合
うちの子どもは1996年(平成8年)生まれです。当時「インクルーシブ教育」という言葉はありませんでした。
以下がうちの子どもが現在まで通った保育園、学校、作業所です。
中等部からは障がいを持つ子ども達専門の学校に通いましたが、小学校までは一般の健常児と一緒の学校に通っていました。
ただ一般の小学校に通うことについては区の教育委員会との間で、かなり熾烈なやりとりがあったことを覚えています。
息子の年齢 | 学校など |
---|---|
1歳~6歳 | 世田谷区立太子堂保育園 |
7歳~12歳 | 世田谷区立三宿小学校 特別支援学級(わかば学級) |
13歳~15歳 | 都立青鳥特別支援学校久我山分校(現都立久我山青光学園) |
16歳~18歳 | 都立青鳥特別支援学校 |
19歳~ | 社会福祉法人 せたがや樫の木会 下馬福祉工房(就労継続支援B型事業所) |
明に暗に特別支援学校をすすめてくる教育委員会
うちの息子の場合、一般的に「自閉症」といわれる発達障害と知的障害、双方の障害があり、小学校に上がる頃には読み書きは普通にできましたが、数字の概念や時間の概念は全く分からず、また集団行動をしたり、自分のみの周りのことをしたりすることは苦手といった感じでした。
そこで区の教育委員会からは「専門の特別支援学校に行った方が息子さん自身もストレスがなく結果的に良いと思う」という趣旨のことをいわれ、「一般の小学校で健常児と一緒に過ごすことはおすすめしない」とプレッシャーをかけられました。
ようするに「お宅のお子さんではちょっと厳しいよ」と言われたわけです。
しかし保育園では一般の子ども達と一緒に遊び、近所の女の子達とも仲良くやっていたことから、両親である私たちは「一般の子どもたちとのつながりを大切にしたい」と考えていました。
大変なことも多かったが6年間は貴重な思い出となった
結局最終的には両親の意向を尊重するということで、区立小学校の特別支援学級に通うことになりました。
特別支援学級ですが、週に何回か一般の教室で一緒に勉強をしたり、健常の子達も支援学級に遊びに来たりして、息子の成長にはとても良い環境だったと思います。
運動会や学芸会でパニックを起こし、息子も両親も大変なことも多かったですが、「同年代の一般の子」とのコミュニケーションはその後急速に減ってしまったので、この6年間はとても良い思い出となっています。
選択肢があることが大切
障がい者の進路は一般の健常者に比べ極めて限られたものになるのが現実です。
それだけにせめて学校にいるときくらいは他の子達とコミュニケーションを取らせてあげたいと私は思います。
もちろん「やはり専門のケアを」ということで特別支援学校にいくことも選択肢の一つです。
重要なのは、知的障がい者やその両親に「選択肢がある」ということだと思います。
今回の記事を読むと、まだまだ実際の現場は厳しいようですが、障がい者への理解が進み、健常者と共生できる社会が実現されることを望みます。